懺悔
二十世紀、二十一世紀を生きてきた。
そして日本は、経済大国でも技術立国でもなくなった。
なにより、日本は恥を知る心「廉恥」を失った。
毎日流れる監視カメラやドライブレコーダーが捉える愚行の数々。
政治家は国民を見ず、選挙支援者しかその視野にない。
官僚も現場を見ず、己と己の組織の保身しか考えない。
企業家も五輪委員も、およそ上に立つ物は金儲けしか頭にない。
私たちは、齢六十を過ぎて、こんな国しか作ることができなかった。
日本ですらそうなのだから、世界全体を見渡せばその未来ははなはだ心許ない。
二〇二二年の十五夜。
私たちの力でできることは、もう多くない。
美しい明月を、そして世界を託すのは、私たちの子や孫になる。
申し訳なくて涙が出る。