死について

養老孟司さんがおっしゃっています。
「死」には、一人称、二人称、三人称があると。

一人称の死とは、自分の死。
これは現実には存在しません。
死んでしまった自分を体験するのは不可能ですから。

三人称の死は、日々あふれています。
著名人から見知らぬ人まで、毎日沢山の人が亡くなっています。
しかし、この大量の死に全て感情移入していたら、精神が持たない。
悲しいけれど、個人としては聞き流すしかない(ウクライナにしてもそうです)。

従って、「自分」にとっての「死」とは、二人称の死しか存在し得ない。
つまり、私が「死」を「死」として受け止めるのは、「あなたの死」しかないのです。

自分にとって身近な方の「死」だけが、自分にとっての「死」であるといえる。

 

三人称の死は日々あふれているけれど、そのひとつひとつの死を二人称で捉えている人が必ずいることを忘れないでいたいと思います。